再生不良性エネルギー
再生エネルギーといわれるものがある。
バイオマスや風力、水力、太陽光、波力といった自然からもたらされる
エネルギーなどである。
これらは確かにある意味地球にはやさしいといえるだろう。
しかし、地球にやさしいとは、時として人類に厳しいことがある。
何が厳しいかと。
まず、エネルギーソースが何なのかと考えてみると、これら自然の
エネルギーは元をたどればすべて太陽光である。
確かに太陽自体のエネルギーはすさまじいものがある。
仮に太陽のエネルギーをすべて使えるとしたら、現在人類が使っているエネルギー
全部合わせても鼻くそ以下である。
地上に届くエネルギーの50億倍である。どう考えたって使い切れん。
しかし現在人類が使えるのは、その鼻くそ以下の量のそのごくわずかなわけで。
地表に届くエネルギーは地球の面積に依存するし、そもそも地球には大気やら雲やらが
あって、まあそれのおかげで人類は生きていけるのだけども、そのせいでかなりの
エネルギーが失われる。で残りしか使えない。
失われたエネルギーの一部は風力や水力、波力として回収できるけど、それに
したってあまりに効率が悪い。
自然のエネルギーは石油などと比べるとエネルギーの密度が小さすぎる。
仮に風力発電で東京の電力まかなうには、八百五十キロワットの出力の風車を
お台場あたりに5万台〜8万台ほど用意する必要があるわけで。非現実的だなあ。
しかも電力供給も安定しないし。おまけに大風で壊れる場合もあるし。
太陽光発電はひょっとしたら日差しの強い国ではかなり有効かもしれない。
しかし日本くらいだときついような。
それに、電気という形のエネルギーってのは正直使いにくい。
なんせ電気ためるのはなかなか簡単じゃないからなぁ。
蓄電できるとはいうけれど、液体燃料なんかならもっと簡単に保管できる。
わかった、自然のエネルギー使うのは大変そうだ。
じゃあそのまま使わない方法を考えてみてはどうだろうか。
何らかの形で自然のエネルギーをより使いやすい形に変換する。
生物を利用するバイオマスがその最たる例だろう。
とうもろこしを使ってプラスチック作ったり、さとうきびからアルコールとったり。
一見新世代のエネルギーの開発できたーっと思える。
しかしだ、生物が生存するにはいろんな要因が必要だ。
一時期二酸化炭素の固定能力が高いケナフがもてはやされたが、ケナフには
土壌の微量元素がたくさん必要だという面もある。
さらにたとえばアルコール燃料一つにしても、完全に現在の液体燃料の代替品に
なるのはそう簡単ではない。
インフラ整備や安定供給といった問題は常に付きまとう。
(政治的なもんとかもあると思うけどそれは置いておこう)
ではどうするよ。
いずれはおそらく石油も石炭も無くなる。
新しい油田は発見されたりはしているが、無限にあるわけではないのは確かだ。
それが100年先かもって可能性はちょっとあるんだが、それでもだ。
太陽光発電(宇宙からの送電含む)と、水素を利用したエネルギーシステム
ってのがいずれは主流になるかもしれない。
赤道地帯での太陽光は強いわけで、そのエネルギーを利用しない手は無い。
そのエネルギーは直接は送りにくいので、水を電気分解して水素にして
水素を運搬することになるのではなかろうか。
日本あたりでも、南の海洋上に発電設備を作り、水素をつくって本土に
持ち帰るとか出来ないことはなさそうだ。
あーでもアレか、その前にメタンハイドレートやら海底油田やらまだまだ
あるわけだが。…地球温暖化を防ぐって目的の再生エネルギーはともかく、
資源が不足するってのは言い訳としては、国によってはつらくないか?
とはいってみたものの、いずれは多分石油はなくなるだろうけど。
石油を作るためにエネルギーを使うって時代もくるかもしれない。
(有機化学にはどう考えても無いと困るわけで)
そういう時代の石油こそまさに再生不良性エネルギー。
追伸:もし藻をつかったエネルギー開発を考えるのなら、藍藻が一番近い
位置にあるかもしれない。藍藻のエネルギー効率は他の植物を上回る。
でも今や効率だけなら太陽光発電のほうが上ではあるけど。